砂まみれの裸足の3本指でアクセルを踏む
BONOBOの音の中を旅しながら帰る車の中
霧を妖艶に纏うサンフランシスコの町並みをフリーウェイから眺める
ベイブリッジを渡る車窓からの夜空
既朔の月が霧とかくれんぼしていた
オークランドに入ったあたりで霧が晴れた
輝いていない6分の1の部分までくっきり見えるほど
その月は煌煌と輝きを放つ笑みでこちらを見つめていた
寂しげに笑う月を横目に
フリーウェイの出口を降りた
ここ数日 夜月がもの凄く印象的だ
ガリ版印刷のように脳裏に焼き付く
一日を終えるときに見る空の色が
眠りにつく前の最後の1ページを忘れがたいものにする
そして気づいた
興奮冷めやらぬまま行った夜中の海で
あんなにも潮が引いて
海抜下の緩く濡れた砂の上に足跡を残せた理由を