大地の足跡を振り返る

Art Shows, Calligraphy

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NYCでの二度目のショー。今回は、書道作品の展示はせず、パフォーマンスだけに集中。

『地跡』

足を踏み入れると、そこは荒野だった
植物は枯れ果て、大地は乾き、生物は姿を消していた。
青ざめた月が、音の無いくたびれた地を見下ろしていた。
太陽はどこかに消えてしまったようだ。

ひっそりとした静寂の中を、艶やかに。
衣を身に纏い、鳥とともに唄い、風とともに木々の間をすり抜け、
新たな光を求めて舞う。

太陽のあくび
星の瞬き
若芽のひるね
大地の鼓動

いのちの音を聴く
大地が奏でるいのちの音に耳を傾ける

歴史というのは人類の進化の足跡に他ならない
腐敗と再生を繰り返すその足跡を辿る ー その一戦が「歴史」という概念を創る
生命の精が大地の鼓動を蘇らせ、強くする
単色かつ単調であったその音を、
生き生きとしたハーモニーへと塗り替えてゆく

「地跡」
その自然の在り方を尊い、礼賛する大地の協奏曲
星が瞬き奏でるチャイムや
風の鼻歌のように

Visual Projection by Martin Söderblom

地跡、パフォーマンス開始数分前。
ダンサーのみかちゃんに、ただ音楽を感じて、自由に舞って欲しいと伝えた。
ひび割れた大地。
生命の影のない荒野。
青ざめた月。
消えた太陽。
そこに足を踏み入れ、絶望に打ちひしがれる自然の精。
その精の肢体の触れるところから、生命が蘇る。
乾いた大地に水が湧き立ち、木々は枝を伸ばし、花は咲き乱れる。

普段はほとんど緊張しない。
程よい緊張感を胸に感じながら、彼女の動きを目で追い、足を強く踏みしめた所に筆で詩を足跡のように記す。
紘子ちゃんの手によって描かれ創られた衣装を纏い、墨にまみれていく彼女の体と、張り付く裸足の足の裏。
白く塗られた新聞は黒いストロークに染められて行き、彼女の強いステップで最初の一箇所が破れた。
私はそこに蒼ざめた月を見た。底無しに黒く暗い。

死から再生へと向かう過程と、それが繰り返されて刻まれて来た歴史を、30分のインプロビゼーションで表現しようという試みだった。在音の音が、このストーリーを形にしてくれた。時の経過を具現化する最大要素がこの「音」という要素だからだ。
音をキーにして、パフォーマンスは進む。
物語は進む。

Photo by Joel Dittrich

Photo by Tokio Kuniyoshi

最高な経験をした。
音楽はイメージ通りだった。
精の舞いもイメージ通りだった。
歓喜の讃美歌だった。
彼の音を、欲しいと思った。
自由に筆を運んだ、無我夢中で運んだ。

そして最後に、精はその足跡の一部となった。美しく描かれたいのちの再生の絵画の中に、還り、ひとつとなった。

地跡は、宙に吊るされた。
破れた穴の数だけ、黒く残された足跡の数だけ、踏みしめられた大地のありかたの様な、大きな一枚だ。

ありがとう。
これで私もまた一歩前に進める。

(From upper left: Zaion, Yoko, Tokio, Mika
Lower left: Yasuaki, Hiroko, Pesu, Aoi)

このショーの計画から実現までに関わってくれたアーティストのみんな、ありがとう。
会場でこの空間を共有してくれたみなさん、サンフランシスコからはるばる見に来てくれた応援隊、ありがとう!

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